メニューに指示されていないことを工夫することで差がつく

 スイム クロール 50m10本 1分サイクル ベストアベレージ(ベストプラス5秒以内)

というスピード持久力を高めるメニューで、トレーニング効果を最大にするには具体的にどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?FLOW STYLE のレッスン内では、コントロールしやすい以下の4つの数値を使用し、順番に確認しています。

①ハイポ(息継ぎ頻度)
②テンポ(動きの速さ)
③ストローク数
④タイム(一定距離の速さ)

ベストタイム24秒の僕なら、ハイポは4、テンポは0:70、前半のストローク数は11回(スタート後ドルフィンキック4回)。これらを具体的目標とすれば29秒で泳げるでしょう。上記の①〜③が決まると④のタイムはおのずと決まってきます(厳密にはスタートの初速も影響)。

失敗例としては、
・はじめからノーブレスで行き過ぎてしまい後半ハイポ2で、泳ぎのテンポやフォームが安定しないのでタイムも安定しない
・0:70のテンポなら29秒台で泳げるイメージが持てない(経験不足)
・自分の最小ストローク数がわかっていない
・はじめの数本で様子を見ようと、テンポを落として消極的になってしまい、力を出しきれずに終わる(気持ちで負けている)

テンポ0:70は一般的に200mレースのテンポです。200mレースを何度も泳いだことのある人にとってはイメージしやすいですね。スプリントとミドルディスタンスはフォームも違いますから、スプリントの泳ぎ方でテンポだけ落としてもうまくいかない場合があります。

メニューに支持されている内容は様々だと思いますが、ハイポやテンポやストローク数まで細かく支持されていることは少ないでしょう。しかし、目標タイム(制限タイム)は支持されることが多く、どのようにすればそのタイムを出せるかは本人の感覚任せなところになっていることが多いと感じます。そこでしっかり考える力がある選手や、今回のケースでいうと200mレース経験がある選手は効果的なメニューになると思いますが、そもそも「考えるきっかけがない」と伸びる機会を失います。

さらに失敗してしまう根本的な問題として、負荷設定が不適切な場合があります。これは指導者側の過失です。

(負荷)=(水の重さ)×(テンポ)×(ストローク数)×(時間)

本数を繰り返す場合は、インターバル(休憩)時間が短いほうが負荷は高まります。負荷が高いほど効果が高いわけでなく、目的とする運動能力(瞬発力、筋持久力、心肺持久力など)によって調節します。もし50m自由形のベストタイムが50秒の選手が上記のメニューを行うとどうなるでしょう?4本目ぐらいでのサイクルアウトし、残りはひたすら300m泳ぐだけです。これはオーバーレベルの負荷ですから、効果はなく、むしろオーバートレーニング症候群の危険性すらあります。

問題なのは、このオーバーレベルのやり方で伸びてしまう選手が一部いることです。もちろん、トレーニング原則に沿った正しい方法でやったほうがもっと伸びますが、身体のサイズが大きくなっていくことや水中感覚の向上によるものと考えられ、「きついけどひたすら泳いだら速くなる」と勘違いしやすいです。

FLOW STYLE のレッスンでは、トレーニングの原理原則に沿って、適切な負荷設定と、明確な評価法でその都度メニューを調節しています。伸び悩んでいる方や、効率的なトレーニングを模索している方はぜひご利用ください。


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FLOW STYLE 藤澤ヨシノブ

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