水泳選手に多い肩の痛み

 水泳肩というスポーツ障害の名前もあるぐらい、水泳は肩関節を酷使するスポーツです。主に肩峰と烏口突起に挟まれた棘上筋や肩峰下滑液包が挟まれて(インピンジメント)炎症が起こります。これとは別に、肩の前側に痛みが出る場合は、腱板疎部の可能性があります。ここはインナーマッスルで覆われていない部分で、肩関節の後方が拘縮すると骨頭が前方に押し出されてストレスを感じます(バタフライの選手は可能性が高いかも)。

僕自身も数回経験したことがありますが、再発を防ぐために以下のようにクロールの泳ぎ方自体を変えました。

①グライドを斜め下方向にする(肩関節のゼロポジションを優先)
②できるだけ内旋しない(キャッチで肘を立てようとしない)
③スイープ動作(S字)でストロークしない
④グライドが前方に残りやすいキャッチアップで泳がない

これらはいずれも水をかく量が減ります。一見デメリットのように思いますが、内旋位やスイープ動作は一部のインナーマッスルに強い負荷がかかるため関節が不安定になり、本来強い力を発揮するべきアウターマッスルに力が入りません。たくさんの水をつかまえても、それを最後までかききる力が発揮されないなら進みません。スプリントで泳ぎたいのに量を確保しようとすると、結局ストローク後半はおろそかになり、前半のキャッチに依存し、慢性的に内旋位を作ってしまします。

また、内旋すると上腕骨の一部が滑液包を押しつぶします。ですから背泳ぎの小指からの入水もおすすめしていません。肩峰が大きく飛び出ている人は、生まれつき肩峰下のスペースが狭い人もいるので要注意です。トップ選手でも肩を怪我している人は多いです。ストレッチをして可動域が大きいと怪我をしないとは限りません。

痛みがあるうちはおそらく器質的な損傷があるので安静と物理治療がよいと思いますが、炎症がおさまってくると肩甲骨を安定させて肩関節を可動するようなエクササイズを導入します。タロートレーニング教科書さんのチャンネルで詳しく解説してくれています↓

これまで数名、肩の痛みに対応したレッスンを行ったことがあります。共通してクロールのグライドが前方かやや内方で、それに伴いスイープ動作を伴っています。ウォーミングアップはゆっくりのスピード泳ぐぶん、そのような泳ぎ方になりやすいのですが、身体(関節)が温まりきっていない段階でそのような動き方をするのは危険です。アップにいきなりバタフライや背泳ぎをするのもおすすめしません。

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