クロール 練習手順

 クロールの特徴
・4種目の中で最もスピードが速い
・一回動作あたりのストロークとキックの推進力はそれほど大きくない
・推進力の頻度(テンポ)が速く、連続的な推進力をいかにキープできているかがポイント

瞬間的なスピードでいうと、バタフライのほうが速いかもしれませんが、推進力を絶えず出し続けるクロールは減速を防ぎ、一定距離を速く泳ぎきる泳ぎ方ですね。これを理解しておけばバタフライが苦手な(パワーに自信がない)選手でもクロールを速く泳ぐことは可能です。

◯2タイプの泳ぎ方
ゆったりと大きなフォームで長く泳ぎたいなら「1軸のキャッチアップスタイル」、シャープにテンポよく速く泳ぎたいなら「2軸のオーポジションスタイル」をおすすめしています。1軸か2軸か、キャッチアップかオーポジションかの組み合わせ方は理論上2×2で4通りありますが、1軸のオーポジションや2軸のキャッチアップは相性が悪いです。その理由について以下の練習手順の中で追って説明していきます。今回は2軸のオーポジションを作ることをゴールとして説明します。


◯手順① 2軸オーポジションの基本姿勢
肩幅、層流(頭とお尻が同じ高さ)、腕のグライドは斜め下方向30度。この3つのポイントをおさえてまずはキックのみです。キックはゆっくりで良いので良い姿勢が保たれていることが重要です。キックを速くしてしまうと腹圧が抜けてしまったり、上半身が立ち上がってしまう原因となります。


◯手順② 2軸間の軸移動
↑と同じ姿勢から、右半身を沈める左半身を沈めるを繰り返しながら左右にジグザグに進みます。これもキックはゆっくりで左右3秒ずつぐらいは沈めてほしいです。このとき多く見受けられるミスは、手先や方はローリングにより左右の高さを変えることはできているのですが、腰や下半身はその場に留まってしまっている例です。1軸で泳ぐ場合も左右を交互に沈めることはするのですが、軸の移動はありません(ジグザグしない)。一見そのほうが速いように思うのですが、重心をその場に留める1軸よりも重心を左右に移しながら体重移動を利用したほうがグライド(滑る)動作は有効です。スピードスケートのスタートダッシュや直線の走りは完全なジグザグの2軸ですね。水の中も氷の上も「滑る」を利用することでストローク数を減らす事ができます。写真のように角度は同じでもテンポを上げることでより直線的に前方に移動するようになります。


◯手順③ 3ストローク3秒キープ
ここからは実際に腕を回してスイムで泳ぎますが、3ストロークごとに3秒片手グライド姿勢をキープし、ジグザグを感じながら泳ぎます。ローリングにより連続性が出てくるのでついつい上半身だけローリングしてしまうとうまくいきません。骨盤の左右の腸骨を底方向に沈めるように意識すると良いです(体幹にねじれを生じさせない)。また、腕のグライド方向を前方にしてしまう人が多いのですが、これをすると腕が前方に残りやすく1軸の泳ぎになってしまいます。


◯手順④ 片手クロール
これまでに「ローリング」という言葉が何度も登場しましたが、この言葉に似ている単語に「ローテーション」があります。FLOW STYLE のレッスンでは、ローリングは左右の肩や腰が上下に入れ替わる動作のことを指し(ハンドルを左右にきる)、ローテーションはローリングを伴いながら左右に軸を移動させることを指しています(ハンドルの軸そのものが移動する)。スピード重視の2軸オーポジションを目的とした場合、片手クロールのときにチェックしているのは、グライド→キャッチ→プルまでは同側の腹圧を高めて肩と腰が沈んでいる状態を維持し、フィニッシュのタイミングでローリングできているかです。1軸のキャッチアップの場合は、キャッチのあとからローリングがはじまってもOKです。


◯まとめ
キャッチアップをしてしまうとグライドの腕が、長い時間前方に残ってしまい、そうすると腕は中央に寄ってきます。スピードスケートもコーナリングのときはテンポを落として足をクロスしますね。1軸のキャッチアップはどうしてもテンポ短縮の限界が早く訪れます。昔は、この泳ぎが良しとされこのおよぎのままテンポを速くしようとしたのですが、キャッチに高い負荷がかかってしまうので肩関節へのストレスが大きく故障の原因となりました。スプリントは2軸にすることでタイムが速くなることのほうが多いのですが、逆の場合もあります。その人の身体的特徴や感覚的な差異もあるのでスプリントチェックなどを用いて慎重に導入していきます。


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FLOW STYLE 藤澤ヨシノブ

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