背泳ぎ 練習手順

 クロールと比べたときの背泳ぎの特徴
・基本姿勢は直線であるがフラット(水平)ではない
・キックの推進力への貢献よりも抵抗を少なくすることが重要
・ローリングのタイミングがやや遅め

クロールと同様に泳ぎ方のパターンが複数存在します。左右の腕のタイミングのとり方で4種類、キックとプルのタイミングのとり方で2種類、その組み合わせ方によってローリングのタイミングが変わってきます。

◯基本姿勢
クロールの場合は、下向きのグライドキックで頭とお尻の高さを揃えることから始めますが、背泳ぎの場合は頭が高くお尻が低い直線姿勢を基本としています。同じ直線姿勢でもフラット(水平)にしてしまうと脚が水上に出てきてしまい造波抵抗が増えてしまいます。また、浅い水は軽く、深い水は重いので、脚が浮きすぎてしまうと推進力も得られにくいです(スカスカする)。2つの写真はどちらも下半身が沈んでいますが、1枚目は直線で抵抗が少なく、2枚目は曲線で渦抵抗が多くなってしまいます。スイムになるとスピードが向上し、脚を含めて身体全体が自然と浮き上がりますので、キック練習のときに脚が沈んでいてもあまり問題ではなく、その時の姿勢が曲線か直線かが重要です。キック練習で脚が沈みたくない場合は、フィンを装着してスピードのサポートがあると良いですね。


◯左右の腕のタイミング
レッスンでは以下の①〜④の順番に泳ぎ方を確認していきます。「4つの泳ぎ分けができるか」ではなく「今の自分の泳ぎ方がどれに近いか」や「いろんなタイプの泳ぎ方があって良いのだ」という視点を持てるかが重要です。それを体験するだけで最速スピードが上がることは多いです。

①完全に両腕気をつけタイプ
両腕を体側につけた姿勢から、右腕を1かきしてきをつけ、左腕をひとかきしてきをつけを繰り返します。スイミングスクールで一番初めに習う方法です。連続して腕を回しませんのでローリングをする必要がなく、その分キックを常に縦方向に蹴れますから下半身が沈みにくいです。

②上から見た90度タイプ
右腕のストロークの後半のタイミングで、左腕を水上にあげます。泳いでいる姿を上から見たときに左右の腕が90度になる瞬間があります。これもローリングが必要ないのでキックの貢献度が高いです。

③上から見た180度タイプ
右腕がキャッチをするタイミングで、左腕を水上にあげます。左右の腕が常に180度の関係にあり、速いテンポで泳ぐことができます。ローリングを伴いますが、ローリング動作の意識が先行しすぎると腕が縦回転ではなく扇風機のように横回転になりやすいので注意です。ローリングは便利なツールでテンポが速くなりますがストローク数も多くなり安く、抵抗も増えやすく、レース後半は体力的にテンポを維持できない可能性もあります。クロールはフィニッシュと同時にローリングしますが、背泳ぎはフィニッシュの後にローリングするぐらいの意識でちょうどよいです。

④横から見た90度タイプ
クロールのキャッチアップに似ています。右腕を入水した後に少しタメを作って、左腕のリカバリーが最高点になってからストローク動作を始めます。泳いでいる姿を横方見たときに左右の腕が90度になっている瞬間があります。ストローク数が少ない伸びやかな泳ぎ方ですが、これで速く泳ぐためには肩甲骨周辺の可動性とパワーも必要です。


◯キックのタイミング
上記の①は特にプルとキックのタイミングは重要視せず、とにかく基本姿勢を崩さすずにキックが止まらず打ち続けれること目標とします。②では右腕のストローク後半と左足のアップキック(やや内方向に蹴る)のタイミングを、③では右腕のフィニッシュと左足のアップキック(やや外方向に蹴る)のタイミングを合わせることを目標にします。クロールに比べて膝を伸ばしてキックするので股関節優位になり、その分体幹は振られやすくなります。それにローリングを伴うと姿勢を維持するのがさらに難しくなります。このへんが伸び悩む壁になりやすいのですが、一つずつ丁寧に取り組めば時間はかかりますが上達します。


◯スプリントチェック
ある程度フォームが整ってくると、背泳ぎも他の種目同様スプリントチェックを行い評価します。いずれも0~12.5mのダッシュの測定をします。クロールに比べると、キックとプルのタイム差があまりなく、測定の初回ではキックのほうが速い人もいます。それだけキックの貢献度が高い種目と言えます。バサロキックは最終的にスイムより速くなりたいですが、まずはプルよりも速くなることを目標としています。レースでは暫定的に、バタフライの水中ドルフィンキックの回数よりも1.2倍ぐらい回数を多くしても良いでしょう。


ここまで、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎの練習手順をご紹介してきました。いずれもタイプをいくつか用意しておいて、それぞれのメリットやデメリット、必要な体力や関節域などの身体的特徴を説明しています。知らないことを知る、初めてのことにチャレンジするのですから、すべてのタイプをいきなり泳ぎ分けれる人はいません。しかし、これまでのスキル習得の過程において、比較的器用にスムーズに獲得できてしまった人ほど、壁にあたったときに悲観的になってしまう場合があったり、一つのやり方に固執してしまったりします。パーソナルレッスンではそういった考え方や取り組み方のアドバイスも行っています。


次回はクロールについて。1軸と2軸について主にご紹介していきたいと思います。


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